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ピトー

料理名(日・英・現地語)


ピトー(日本語)
pito(英語・仏語)
da’am (グルニ語)
dagara daa(ダガーレ語)

食されている国や地域


ガーナ北部、ナイジェリア北部、ブルキナファソなどの西アフリカ・サバンナ地域










この料理って?


赤いモロコシ(Sorgham bicolor)から造る醸造酒。赤色~茶褐色の鮮やかな見た目が特徴で、ヒョウタンの器に入れて供します。ピンクグレープフルーツのような果実味とほろ苦さを感じさせる、低アルコール(2~3%)の飲みやすいお酒です。

材料 6人分


赤いモロコシの種子
1kg

2~3リットル

酵母(「ダビーレ」)のついた甕
1つ


※ダビーレはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母で代用可とされる。酵母50mlあたりモロコシ濾液350mlが推奨される(Orji et. al. 2003)。

調理手順


1)モロコシの種子を半日~1日水に浸す

原料となる赤いモロコシ


水をかけたモロコシを筵の下で1~2日ねかせ、発芽させる

2)水からあげて平らな場所に広げ、穀物袋などで被う。モロコシを出芽させる。
3)天日で乾かし、粉砕する。
4)粉砕したモロコシと水を大きなつぼに入れ、一晩寝かせる
5)4)を鍋に投入し、火にかける

鍋に入れて火にかける

6)冷ました後、濾し器を使って澱などの不純物を取り除く。

濾し器で澱を取り除く。濾し器はモロコシの稈でできている。


鍋に入れて火にかける

7)濾液を醸造専用の甕に入れ、発酵させる。積極的にダビーレを加えたり、前回つくったピトーを加えて発酵させる方法もある。
8)一晩寝かせて、完成。ヒョウタンの器で飲む。

ヒョウタンの器でいただきます


女性のつくったモロコシ酒は、定期市場や町のピトーバーで販売されます



フィールドメモ


ガーナ北部では、冠婚葬祭や共同労働の後、日々の憩いの時間など、人が集う場面に欠かせない飲み物がピトーです。「暑く食欲がないときでも、これを飲むと力がみなぎる」と語られます。ピトーはいわば「ソウルフード」ならぬ「ソウルドリンク」。北部からの出稼ぎ者が多いガーナ南部の都市や町では、女性がモロコシを取り寄せてピトーバーを開いています。ヤシ酒やビールもいいけれど、北部の人が集まるときには、やっぱり故郷のモロコシ酒なのです。

牛久晴香 (2014)「モロコシで造る赤い酒」『アフリカの酒―地酒は地域産業になりえるか』京都大学アフリカ地域研究センター:17-19.
Orji, M., T. Mbata, G.Aniche and I. Ahonkhai. 2003. The use of starter cultures to produce “pito”, a Nigerian fermented alcoholic beverage. World Journal of Microbiology and Biotechnology 19: 733-736.

紹介者:牛久晴香、桐越仁美